家を高く売るならどこがいい?ローン中のタイミングや注意点、査定相場についても解説

家を高く売るならどこがいい

2025年に入ってからすでに何度も日銀の利上げがニュースになり、今後の住宅ローン金利にも大きな影響を及ぼすと言われています。

また、世界情勢の変化による円安、原油価格の高騰など、さまざまな影響により引き起こされる物価高は家計を直撃しています。

そんな中、今後の住宅ローンの支払いを不安に感じる人も多いのではないでしょうか。

そして、ライフステージの変化やさまざまな事情から、家を売却して新たな人生を始めたいと考える人もいるでしょう。

しかしながら、家を高額で売却することは簡単ではありません。この記事では少しでも家を高く売るポイントとして、以下の内容を解説しています。

本記事でわかること
  • 家を高く売るためのポイント
  • 売却査定と価格交渉のポイント
  • 売却時の注意点

売主が知っておくべき情報を分かりやすく紹介、住宅ローン中の売却や売却時の注意点についても触れていますので、ぜひ、参考にしてください。

家を高く売るためのポイント

家を高く売るポイント

家を高く売るためには以下の3点のポイントについて理解する必要があります。

✓ 動産会社選び
✓ 売却のタイミング
✓ 売却前の準備とタイミング

いずれも家の売却価格を左右する重要なポイントなので、しっかりと確認しましょう。

「家を売るならどこがいい?」不動産会社選びのコツ

不動産会社選びのコツ

家を売るなら、不動産会社はどこがいいのでしょうか。まずは、自分の物件の種類や特性、自身が置かれている状況を理解しなければなりません。

そして、不動産会社も全国展開の大手から地元密着型まで、選択肢は幅広くあります。

それぞれの特徴を理解し、自分に合った会社を選ぶことが大切です。

まずは物件種類や特性・状況を整理し売却方針を考えよう

家を売却するために不動産会社を選ぶ際、まず押さえておきたいのが売りに出す物件の種類と特性です。

物件の種類や特性
  • 一戸建て
  • マンション
  • 土地の広さは?
  • 立地は?
  • 築年数は?

戸建てかマンションか、築年数はどのくらいでどんな立地にあるのか。これらの要素が売却方針を考える上での出発点になります。たとえば、駅から徒歩5分以内の築浅マンションであれば、利便性と新しさを武器に、比較的高い価格帯での売却が狙えるかもしれません。

一方で築20年以上の郊外の戸建てなら、リフォームや修繕、価格調整などの工夫が必要になってくるでしょう。

また、戸建ての売却ならば土地の用途や敷地面積も重要です。宅地や商業地、もしくは農地なのか、敷地面積は戸建てが1棟建つくらいか、広大な敷地なのかで依頼する不動産会社も変わります。

また、物件の強みと弱みを把握することも重要です。日当たりや眺望がよければ、その魅力をアピールでき、販売価格にも反映できます。

逆に、老朽化が進んでいたり、間取りに難があったりする場合は、リノベーションの提案や条件面での譲歩を検討する必要があります。加えて、売却の理由やタイミングも方針に影響を与えます。転勤や資金繰りなど早期売却を優先すべき事情があるなら、多少の値引きも許容範囲内かもしれません。

場合によっては、売却価格が安くなるけれども不動産に買い取ってもらうことを検討する必要も出てきます。一方で、ゆっくり買主を待てる立場ならば、価格面で妥協しない方が賢明です。

このように、物件や売主の状況に応じて、売却方針は大きく変わってきます。画一的な答えはなく、それぞれのケースに即した戦略が求められるのです。

だからこそ、不動産のプロに相談し適切なアドバイスを得ることが大切で、物件の市場価値を見極め、最適な売出し価格や時期、プロモーション方法などを提案してもらいましょう。

そして、専門家の意見を参考にしつつ、売主自身の希望や事情とすり合わせて、納得のいく売却方針を固めていくことが、家を高く売るための第一歩です。

大手不動産会社と地元密着型不動産会社の違いと特徴

家を売却しようと考えたとき、どの不動産会社に依頼するのがベストなのでしょうか。

選択肢は大きく分けて、全国展開の大手不動産会社と地域密着型の不動産会社の2つがあります。

全国展開の大手不動産会社

大手不動産会社の強みは、ブランド力と広範なネットワークです。多様な広告活動で買主へのアプローチが可能で、スピーディな売却が期待できます。

また、豊富な実績とノウハウを持つスタッフが、売却活動をサポートしてくれるのも心強いポイントです。

ただし、大手不動産会社は社内規定が厳密に定められているため仲介手数料の値引き対応や、メッセンジャーアプリの利用を制限するなど、対応が画一的です。

地域密着型の不動産会社

地域密着型の不動産会社は、地元の不動産事情に精通しているのが強みです。

地域の買主ニーズを把握している分、的確な価格設定やプロモーションが可能です。また、地縁を生かした人脈で、有力な買主候補を見つけ出すこともあるでしょう。

一方で、地域密着型は柔軟な対応は期待できるものの、大手不動産会社ほど広告活動に注力できないため、買主を見つけることに時間がかかることも。

家の売却はどちらに依頼するのがベスト?

全国展開の大手不動産会社と地域密着型の不動産会社、一概にどちらがいいとは言い切れません。

物件の立地や条件、売却の希望時期やご自身の優先事項を考慮しつつ、複数の会社に査定を依頼して比較検討するのがおすすめです。

そのうえで、担当者の知識や対応、提案内容の具体性、手数料の妥当性などを総合的に判断しましょう。

家の売却には時間がかかるため、担当者との相性の良さも大切な要素です。

相談してみて「この人になら任せられる」と感じられるかどうかも、会社選びの大きなポイントになります。

家を売る査定は何社にしてもらう?複数社への査定依頼の重要性

家を高く売却しようと検討するならば、大手不動産会社から地域密着型の中小不動産会社まで、複数の不動産会社に査定を依頼することは、売主にとって非常に重要です。

なぜなら、各社の査定額を比較検討して物件の適正価格を正確に把握できるためです。

一社のみの査定では、その会社特有の営業方針や主観が強く反映される可能性があり、適正価格に判断することが困難になる場合があります。

また、適正価格を判断する以外にも以下のメリットがあります。

査定依頼を複数社するメリット
  • 不動産会社ごとの異なる販売戦略や得意な顧客層を知ることができる
  • 複数の査定額を持っていることで、不動産会社との交渉でより強い立場に立つことができ、有利な条件での売却が期待できる

そして、依頼する不動産会社の数は3社から5社程度の査定を依頼することをおすすめします。

これより少ないと比較検討が十分にできず、逆に多すぎると判断が複雑になってしまうでしょう。

また、査定は同時期に依頼することが重要です。

不動産市場は常に変動しているため、時期が異なると正確な比較が困難になります。

家の売却タイミングはどうやって決めるの?

家を高く売るためには売却のタイミングについても見極めが必要で、タイミングによっては同じ条件の物件でも価格が上下してしまうでしょう。

ここでは価格を左右する以下の売却タイミングについて解説しています。

売却のタイミング
  • 季節や市況
  • 築年数・修繕
  • 住宅ローンの状況

それぞれどのような影響が出るのか確認していきましょう。

季節や市況の影響

家を売るためには売る時期、つまり季節の影響も考えなければなりません。冬から春にかけては、転勤や進学に伴う住み替えニーズが高まる時期であり、物件の需要が増加します。

特に2月から3月は年間で最も取引が活発になる傾向があり、売却を検討する上で有利な時期と言えます。

一方で、8月や12月は取引が停滞する傾向があります。

そのため、年末あたりから売却準備を始め、1月ごろから販売開始、3月で引き渡す、というようなスケジュールが組めれば理想的でしょう。

また、不動産市況は金利動向や経済状況、法改正などの影響を受けます。たとえば、住宅ローン金利の上昇期には買い手の購入意欲が低下する可能性があり、売却のタイミングとしては慎重な判断が必要になります。

築年数・修繕が与える影響

一般的に築年数が経過するにつれて物件価値は低下していきます。

特に木造住宅の場合、築20年を超えると市場での評価が大きく下がる傾向にあり、鉄筋コンクリート造の建物では、木造に比べて築年数による価値の低下は緩やかです。

しかしながら、築30年を超えると大規模修繕や設備更新の必要性が高まり、売却価格に影響が出やすくなります。

適切なタイミングでの修繕・リフォームは、物件価値の維持や向上に貢献するでしょう。

特に水回りの設備更新や外壁塗装などの基本的な修繕は、売却時の価格を決めるための重要なポイントです。

一方で、過度な改装や個性的なリフォームは、必ずしも売却価格の上昇につながらない場合があります。

むしろ、購入者層を限定してしまう可能性があるため、売却を見据えたリフォームは汎用性の高い改装を心がけることが重要です。

ローン中の家売却のメリットとデメリット

住宅ローンを返済している最中の売却には以下のようなメリットとデメリットがあります。

メリット
  • 住宅ローンを完済するので返済負担から解放される
  • 完済前の早いタイミングで売却することで物件の価値が下がる前に売却できる可能性がある
  • 新しい住まいへの住み替えが実現できる
デメリット
  • 売却価格がローン残債より低い場合、差額の支払いが必要になりなる
  • 差額を支払うことができない場合、売却できないこともある
  • 住宅ローン完済のために、繰上返済手数料が必要になることもある
  • 住宅ローン控除の適用が中止になる

特に売却額と住宅ローン残債額との金額差が重要で、住宅ローン残債額が売却額より大きいと売却そのものが成立しないこともあります。

そのため、家を売る前には現在のローン残債額を正確に把握することが最優先です。

金融機関に残債額の証明書を請求し、売却時点での具体的な残債額を確認しましょう。

もし、自己資金が足りず売却しても住宅ローンを完済できない場合では、家を売ることは難しいため、残債額が減る、自己資金がたまるタイミングを待つ必要があります。

家の売却前に必要な準備とは?

家を高く売るためには建物のリフォームやリノベーション、不用品の処分など取り組めることは数多くあります。

しかしながら、そのすべてが効果的とは限らず、費用をかけたけれども売却価格になんの影響も出なかったということも考えられます。

ここでは、リフォームやリノベーションについて、不用品の処分や清掃、瑕疵の確認など売却前にしておきたい準備と対策について解説します。

リフォーム・リノベーションの効果

もし、売却前にリフォームやリノベーションに取り組み、家の価値を高くしたいと検討するならば、費用対効果の高いリフォームを選択することが重要です。

特にトイレ、洗面、キッチン、ユニットバスなどの水回り、壁紙の張替えなどは比較的少ない投資に対して大きな印象の改善が期待できます。

また、外壁の塗り替えや庭のメンテナンスなど、外観の改善も重要です。

第一印象は買い手の判断に大きく影響するため、外観のメンテナンスは売却価格に反映されやすい要素となります。

ただし、過度に個性的なデザインや高額なリフォームは、必ずしも売却価格に反映されないことがあります。

市場のニーズに合わせた汎用性の高いリフォームや、価格を引き下げ買い手にリフォームを委ねることもひとつの方法です。

よく見せるなら不用品の処分と清掃をしよう

内覧時の印象を大きく左右する要素として、室内の整理整頓と清潔さが挙げられます。

不要な家具や物品を整理し、スッキリとした空間を演出することで、物件の魅力を最大限に引き出すことができるでしょう。

特に気を付けるべき箇所として、キッチンやバスルームなどの水回り、収納スペース、窓やサッシの清掃が重要です。

これらの場所は買い手が特に注目する部分であり、清掃することでメンテナンス状態の良さをアピールできます。

必要に応じて、プロのハウスクリーニングサービスの利用も検討してみましょう。

専門的な清掃により、見違えるような清潔感を演出できますよ。

瑕疵の確認は重要!

不動産における瑕疵とは、土地や建物に発生した欠陥や不具合のことで、一例として以下のものがあります。

不動産における瑕疵の例
    • 雨漏り・漏水
    • シロアリ被害
    • 床の傾きや土台の腐朽
    • 土壌汚染
    • 地中埋設物
    • 耐震強度の不足
    • など

建物に瑕疵がある場合は、その内容を正確に説明することは法的な義務であり、重要事項説明の対象となります。

売却前に建物の状態を専門家に確認してもらう「ホームインスペクション」というサービスがあります。

これにより、補修が必要な箇所や潜在的な問題点を把握できるだけでなく、売却時のトラブルを未然に防ぐことができます。

ホームインスペクションを実行するかどうかで売却価格にも影響が現れることもあります。

ホームインスペクションはどうやって依頼すれば良いのでしょうか。

実は、2018年4月からホームインスペクションの実施について、不動産会社が媒介契約を締結する際にあっせんする義務ができました。

そのため、媒介契約時や売買契約の際にホームインスペクションについて必ず説明されます。その際に業者を紹介してもらいましょう。

なお、ホームインスペクションを実施した場合、売買契約時にその結果を買主に提出しなければなりません。

悪い結果が出たからと言ってごまかすことはせずに、きちんと状況を説明しましょう。

家の売却査定と価格交渉のポイント

家を高く売るためには売却査定の基本的な知識と、相場感の形成、価格交渉のポイントを踏まえなければなりません。

ここでは以下の内容を解説しています。

・売却査定の種類や特徴、査定で重視されるポイント
・査定前に必要な相場観の形成とは
・価格交渉はどうやって進めるの?

売却査定はどのようなもので、自分は何をしたら良いのか、買い手が現れたときの価格交渉はどうしたら良いのかを確認していきましょう。

家売却査定の基礎知識

家を売る際に、最も重要なステップの一つが物件査定です。

適切な売却価格を設定するためには、査定の仕組みを理解し、物件価値を最大限に引き出すための準備が欠かせません。

ここでは、査定に関する基礎知識から実践的なアドバイスまでを紹介します。

査定の種類と特徴は?

不動産査定には主に2つの種類があります。

①机上査定
②訪問査定
机上査定

机上査定は物件の所在地、築年数、面積などの基本情報をもとに、システムを使用して概算価格を算出する簡易的な査定方法です。

査定依頼してから1週間程度で査定結果を得られ、気軽に依頼できる反面、実際の物件状態を確認できないため、精度には限界があります。

しかし、市場価格の目安を知る上では有効な手段といえます。

訪問査定

訪問査定は不動産会社の担当者が実際に物件を訪問して行う詳細な査定です。

建物の状態や周辺環境まで含めた総合的な評価が可能となり、より正確な市場価格を把握できます。

売却を本格的に検討する際には、必ず現地査定を受けることをおすすめします。
 

この他にはAIが判断して短い時間で査定結果を得られるAI査定や、複数の不動産会社にまとめて査定依頼できる不動産一括査定などがあります。

しかし、机上査定と訪問査定が基本的な査定方法だと考えましょう。

家の査定で重視されるポイントを押さえよう

査定で重視されるポイントは以下の3点です。

✓ 立地
✓ 建物の状態
✓ 市場動向

まず、最も重要視されるのが立地条件です。

最寄り駅からの距離や交通利便性、日当たりや周辺環境の良さ、学校や商業施設などの生活利便施設へのアクセスなどが、物件価値に大きな影響を与えます。

次に、建物自体の状態も重要な評価ポイントとなります。

築年数、維持管理の状況、耐震性能や断熱性能、修繕やリフォームの履歴なども、査定価格に大きく影響します。

適切なメンテナンスが行われている物件は、築年数が経過していても高い評価を得られる可能性がありますよ。

さらに、市場動向も査定価格を決定する重要な要素です。

地域の取引事例や相場、同様の物件の売り出し状況、地域の将来性や開発計画なども考慮されます。

これらの要素は時期によって変動するため、複数の不動産会社に査定を依頼する際は、できるだけ同時期に行うことがおすすめです。

家を高く査定してもらうコツはある?

査定価格を少しでも高くするためには、以下の対策が有効です。

査定価格を高くする対策
  • 清掃や片付けで物件の魅力を引き出す
  • リフォーム履歴や家歴書、図面や仕様書など資料の用意
  • 複数の不動産会社に査定依頼しよう

物件の魅力を最大限に引き出す準備が重要です。清掃や整理整頓を徹底し、内覧時の印象を良くすることは査定価格にも良い影響を与えます。

特に、水回りの清掃や目立つ汚れの清掃など、比較的少ない労力で対応できる部分は、しっかりと手を入れておきましょう。

また、過去の修繕履歴や家歴書など、図面や仕様書などの資料を整理して提示することも効果的です。特にリフォームをしている場合はその内容と費用の記録を保管しておくことで、物件の維持管理状態の良さをアピールすることにもつながります。

マンションの場合は、管理組合の議事録や修繕積立金の状況なども、重要な評価資料です。

そして、複数の不動産会社に査定を依頼することも、適正価格を見極める上で重要です。最低でも3社以上に依頼し、各社の営業方針や得意分野を比較検討しましょう。

不動産会社はどこがいいかというと、大手不動産会社と地域密着型の不動産会社とをバランスよく選択しましょう。それぞれ異なった目線で物件を判断してくれるので、査定額や売却の方針の幅広い意見が売却の参考になります。

査定結果が高いことは良いことですが、査定額が相場より著しく高い場合には要注意です。不動産会社が売却の依頼を受けたいがために査定額を操作している可能性があります。

もし、高い査定額を根拠に相場より著しく高い販売価格を設定すると、売り出し後に値下げを繰り返すことになります。

その結果、相場より低価格での販売活動になる可能性もあります。

家を高く売るためにも相場観を養おう

家を高く売るために最も重要となるのが適切な価格設定で、高すぎる価格設定は売却期間の長期化につながり、逆に安すぎる設定では損をしてしまいます。

そのため、正確な相場観を養うことが売却成功のポイントです。

また、相場観を養うことで不動産会社が提出する査定書についても、適正な価格を判断しやすくなります。

地域の取引事例の把握

相場観を養うために有効な方法は地域の取引事例を確認することです。国土交通省が提供する不動産取引価格情報や各種不動産ポータルサイトの成約事例は、実際の取引価格を知る上で非常に役立ちます。

特に、直近1年程度の事例を重点的に確認することで、現在の市場動向を反映した相場を確認することができるでしょう。

ただし、取引事例を見る際は単純な価格の比較だけでなく、さまざまな要素を考慮しましょう。同じ地域でも、築年数や間取り、最寄り駅からの距離などによって価格は大きく異なります。

できるだけ自身の物件に近い条件の事例を集めて、詳細に分析することが重要です。そして、成約物件だけではなく、現在販売中の物件からも得られる情報はたくさんあります。

できれば、しばらくの間物件情報をチェックし、条件が近い競合物件の販売開始から売れるまでの価格の推移と期間を確認しましょう。

そうすることで、成約価格を推測でき、物件相場の理解も深まるでしょう。また、地域特性についても確認が必要です。学区や商業施設へのアクセス、治安の良さなど、エリアによって重視される要素は異なります。

さらに、新駅の開業や大型商業施設の進出といった開発計画は、将来の価値に大きな影響を与える要因です。

専門家の意見を参考にする

地域に精通した不動産会社の意見は、取引事例だけでは分からない市場の状況を知るためにとても有用です。

特に、実際の売却にかかる期間や値引き交渉についてなど、実務的な観点からのアドバイスは貴重な情報となります。

「最近の物件の動きはどうですか?」という質問や「最近の物件相場は上がっていますか?下がっていますか?」と質問すると、分かりやすく市場の状況を教えてくれるでしょう。

ただし、不動産会社によって得意とする領域や営業方針は異なるので、複数の専門家の意見を聞き比べて、より客観的な相場観を養うことをおすすめします。

一般的な相場観だけにとらわれない

一般的な相場観は重要ですが、それだけにとらわれすぎるのは良くないでしょう。

同じ地域・同じ条件でも、日当たりや眺望、建物の状態、住宅設備のグレードなどによって、価格に大きな差が生じることがあります。

特に、適切なリフォームや修繕の実施、日々の維持管理は、相場価格からの上乗せ要因となるでしょう。

自身の物件の強みを把握して価格に反映させることで、より有利な条件での売却が期待できます。

不動産市場は、金利動向や経済情勢によって大きく変動するので、最新の市場動向を常に注視し、必要に応じて価格設定を見直すことも重要です。

さらに、転勤シーズンなど、季節による需要の変動も確認しておきましょう。

家を高く売るための価格交渉の進め方

不動産取引における価格交渉は、売主・買主双方の利害が対立する重要な局面です。

昨今の不動産取引では買主がとりあえず値引きを申し込んでくることも少なくありません。

家を高く売るための、効果的な価格交渉方法を解説します。

適切な価格設定の重要性

価格交渉の成否に大きな影響を及ぼすのが、交渉力や不動産会社の能力ではなく、初期の価格設定だったりします。

相場価格を基準としながらも、物件固有の価値を反映させた価格設定が基本となりますが、一般的には、相場よりもやや高めの価格からスタートしましょう。

なぜなら、値引き交渉の余地を残せるからです。ただし、相場価格からかけ離れた価格設定は、買い手の興味を失わせる可能性があるため注意が必要です。

そして、最終的な成約価格は売り出し価格から5~10%程度下がることを想定しておきましょう。

そのため、事前に最低限譲れない価格を設定し、それを基準に売り出し価格を検討することが重要です。

また、売却までの希望期間によっても価格設定は変わってくることも考慮に入れておきましょう。

買主の視点に立って交渉しよう

効果的な価格交渉をするためには、買主側の立場に立って交渉しましょう。

多くの購入検討者は、住宅ローンの返済計画を重視し、同価格帯の他物件との比較検討します。また、将来的な資産価値の維持も重要な判断基準となっています。

このような買主の考え方に合わせるためにも、物件の魅力や維持管理状態の良さを具体的にアピールしましょう。

また、近隣の取引事例や地域の将来性などの客観的な情報を伝えることで、現在の価格が妥当だということを理解してもらいましょう。

建設的な交渉を進めるには

価格交渉では相手の要望をよく聞いて、建設的な話し合いを心がけましょう。

値引き交渉では値引きの必要性を具体的に確認し、適切な対応を検討します。

また、引渡し時期、設備の付帯など価格以外の条件による調整も提案することで、より柔軟な交渉が可能となります。

交渉のテクニックとしては、一度に大きな譲歩・値引きをするのではなく、少しずつ価格調整することが挙げられます。

家を高く売るための注意点

家を高く売るためにはいくつかの注意点がありますが、見落とすことで特に大きなトラブルに発展する部分は売買契約から引渡し、売却後の注意点です。

ここでは以下の内容について解説しています。

・売買契約時の注意点
・引渡しまでの準備
・売却後には確定申告が必要

何かと難しい不動産売買契約ですが、売主が押さえておくべき重要な注意点について詳しく解説します。

何を確認するべき?売買契約の注意点

売買契約時の注意点としては以下が挙げられます。

✓ 契約不適合責任
✓ 手付金
✓ 契約書のチェックポイント

いずれも日常生活では関わりのない言葉や内容です。

取引に立ち会う不動産会社の担当者がしっかりと説明してくれることではありますが、事前に理解を深めておきましょう。

契約不適合責任について理解しよう

契約不適合責任とは、引き渡された物件が契約の内容に適合していない場合に売主が負う責任を指します。

具体的には以下の状況を示します。

契約不適合責任
  • 雨漏りの発生など説明と異なる物件の状態が発覚した
  • 契約書に明記されていた設備が実際には使用できなかった
  • 建物の隠れた瑕疵(欠陥)が発見された

契約した後に発覚した内容については、売主の責任になるため、売主が修繕、費用負担もしくは買主から損害賠償請求を要求されます。

契約不適合責任への対応としては以下の点に注意しましょう。

契約不適合責任の対応
  • 物件の状況を正確に把握して、買主に適切な説明をする
  • 建物状況報告書・付帯設備表を作成し契約前に提示する
  • 不具合や欠陥がある場合には事前に売主に伝える
  • 免責事項がある場合には契約書に記載する

つまり、「知らなかった」「分からなかった」では問題で、仮に欠陥があったとしても契約前に説明し、説明に納得してもらったうえで契約に進めば問題がありません

もし、建物の状態を隅から隅まで把握できない、ということであればホームインスペクションを利用して、専門家に建物を見てもらうことも検討しましょう。

手付金ってどういうもの?手付金放棄と倍返し

手付金は売買契約の履行を担保するためのお金で、一般的には売買価格の10%程度が相場と言われています。

そして、買主は手付金を放棄する、もしくは売主が倍返しすることで契約を解除することができるのです。

これらの制度は売主、買主の双方が対等な立場で契約解除するための権利を与えるものです。

そのため、手付金については以下の点に注意しましょう。

手付金についての注意点
  • 手付金の金額は売主・買主双方の合意で決定する
  • 契約書に手付金の取り扱いを記載する
  • 手付金の受け渡し時には領収書を発行する

手付金は買主から売主に渡される証拠金です。

契約の解除は手付金放棄や手付金倍返し以外にも、契約の白紙解約ということもあります。

引渡しが済んでいない間は、手付金を受け取ったとしても売主のお金ではないため、万が一、契約が解除されることに備えて手付金を使わないようにしましょう。

契約書のチェックポイント

売買契約書は基本的に「誰と」「誰が」「何を」「いくらで」「いつまでに」取引するかを示した書類で、それ以外は契約に際した取り決めや、何かあったときの対応が記載されているものです。

そのため、間違いがないか確認したほうがいい内容は以下の内容です。

物件の表示
  • 所在地
  • 面積
  • 建物の構造
売買代金と支払い方法
  • 売買代金の総額
  • 手付金の金額と支払い方法
  • 中間金の有無と支払いスケジュール
  • 残金の支払い方法と時期
引渡条件
  • 引渡日、引渡し時期
  • 付帯設備の範囲
  • 現況有姿の引渡しかどうか
特約事項
  • 契約不適合責任の範囲、期間
  • 契約解除の条件
  • その他個別の取り決め

契約書は一言一句の全部が重要ではありますが、ポイントを押さえたうえで確認し、トラブルが起きないようにしましょう。

引渡しまでの準備

契約が済んだタイミングは販売活動が終わり、気が抜ける瞬間ですが、スムーズに引渡しできるように準備をしなければ、思わぬトラブルに遭遇するかもしれません。

ここでは引渡しまでに何をしなければならないのか整理して解説します。

ローン残債の返済手順の確認

家を売ることで住宅ローンを完済する場合には、ローン残債の返済手順を確認しなければなりません。

なぜなら、家を引き渡すためには住宅ローンを完済し、金融機関が家に設定した抵当権を抹消する必要があるからです。

万が一、手続きに失敗して住宅ローンの完済ができず、引渡しまでに抵当権が抹消できない場合、引渡しができなくなり、買主の引越しが絡んでいると引越しできなくなってしまいます。

そうなると、ホテル代の負担や損害賠償請求されてしまう可能性も出てくるでしょう。

したがって、ローン返済の以下の手順を確認し、間違いなく実行に移しましょう。

① 引渡日時点の住宅ローン残債、利息を確認し返済額を確定する
② 一括返済に伴う手数料を確認する
③ 抵当権抹消に必要な書類のやり取り、流れを確認する
④ 抵当権抹消手続きを司法書士に任せるのならば、金融機関の担当者とコンタクトを取ってもらい、書類を確認する
⑤ 決済時に確定した返済額と手数料を金融機関に支払う
⑥ 決済当日、司法書士に必要書類を渡し、抵当権抹消の費用を支払う
⑦ 司法書士が法務局に行き抵当権を抹消する
⑧ 抵当権抹消後に所有権の移転登記が行われる

残置物の撤去と明け渡し

物件の明け渡しは売買契約における売主の重要な義務のひとつです。

不要品の処分やリサイクル可能品の選別を行い、必要に応じて処分費用の見積もりを取ります。

室内の清掃や軽微な補修も必要に応じて実施し、自分でできないところについては専門業者への依頼も検討します。

明け渡し前には設備の作動確認、水道、電気、ガスのメーター確認などを行いましょう。

これらの確認事項を丁寧に行うことで、引渡し後のトラブルを防ぐことができます。また、建物内に残置物を残さないようにしましょう。

一般的に不動産取引では残置物が残った状態での明け渡しを買主は拒否できます。

これにより決済が遅れることも考えられますし、損害賠償請求、深刻な場合では買主は契約自体を解除する可能性があります。

この場合の契約解除は売主による契約不履行なので、売主に違約金が発生することになるので、残置物を残さないように気をつけましょう。

住所変更などの各種手続き

引渡しに向けては、さまざまな手続きが必要となります。

まず、公共料金については、電気、ガス、水道の使用停止手続き、最終月の料金精算方法を確認します。電話やインターネット等の契約解除も必要です。

役所への届出としては、住民票の異動、印鑑登録の変更、国民健康保険の手続きなどがあります。

その他、銀行口座やクレジットカードの住所変更、運転免許証の住所変更なども忘れずに行う必要があります。

住所変更等の手続きにおける注意点は、住民票の異動を引渡し決済前に行うと、住所変更の登記が必要になり、余計な費用がかかる点です。

引渡しが済んだ段階で住民票の異動などの手続きを進めましょう。

売却後には確定申告が必要

不動産を売却した場合、その所得は「譲渡所得」として課税対象となり、確定申告が必要となります。

ここでは、確定申告の具体的な方法や計算方法、さらには特例の活用方法について解説します。

譲渡所得の計算方法

譲渡所得は、売却金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。

売却金額は売買契約書に記載された金額を記載しましょう。

取得費とは、不動産を購入した際にかかった費用のことで以下を取得費として算入します。

取得費となるもの
  • 購入時の物件代金
  • 仲介手数料
  • 不動産取得税
  • 登記費用
  • 所有期間中に実施した増築・改築費用やリフォーム費用、新規設備の設置費用など

※引用元:国税庁「取得費となるもの」

なお、取得時から期間が経過している場合で、実際の取得費が不明な場合は、譲渡収入金額の5%を取得費とでき、これを概算取得費と呼びます。

建物がある場合は、取得費から減価償却費を差し引きます。減価償却費とは、経年劣化によって減少する建物の価値のことです。

取得費から減価償却費を差し引くことで、売却時点の建物の価値を用いて、譲渡所得を計算します。

※引用元:国税庁「減価償却費の計算について」

譲渡費用としては、売却時の仲介手数料、売却に係る登記費用、不動産鑑定料、測量費用、広告宣伝費、契約書の印紙代、売却のための建物の修繕費などが認められます。

これらの費用は適切に証明できる書類を保管しておく必要があります。

注意点としては、購入時も売却時も住宅ローンに関係する費用は取得費にも譲渡費用にも含まれないということです。

3000万円特別控除の特例

居住用財産を売却した場合、最大3000万円の特別控除を受けることができ、譲渡所得額から3,000万円を差し引くことができます。

この特例は、多くの売主にとって非常に有利な制度です。

ただし、適用には以下の条件を満たす必要があります。

✓ 自分が住んでいたマイホーム
✓ 以前に住んでいたマイホーム
 (住まなくなってから3年を経過する日の属する12月31日までに売却することが条件)
✓ 上記の条件で売却したマイホームの敷地や借地権
✓ マイホームを取り壊した場合はその敷地で、敷地の売買契約が建物を壊した日から1年以内に締結され、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに引渡しすること
✓ 家を取り壊してから引渡しまで、その敷地を駐車場などその他の用途で使用していないこと
✓ 売却した敷地や建物が、収用等の場合の特別控除など、他の特例の適用を受けていない

※引用元:国税庁「マイホームを売った時の特例」

また、以下の3点は適用除外になります。

・3,000万円控除の適用を目的で購入した不動産ではない
・仮住まいや一時的な目的で入居したものではない
・別荘や主に趣味、娯楽または保養のために所有した家屋ではない

特例の適用を受けるためには、住民票の除票、登記簿謄本、売買契約書などの書類が必要となります。

ほかの特例とは併用できず、一度選択した特例は変更できないため、最も有利な特例を選択しましょう。

譲渡所得税の計算方法

譲渡所得税の計算方法は以下のとおりです。

譲渡所得税=[譲渡所得-(取得費-減価償却費)-譲渡費用-控除費用]✕税率

建物がない場合には減価償却費を計算する必要はありませんし、控除がない場合は省いて構いません。

税率は不動産の保有期間によって2種類の税率から適用されます。

保有期間5年以下(短期) 39.63%
(所得税30.63%、住民税9%)
保有期間5年超(長期) 20.315%
(所得税15.315%、住民税5%)

この税率は所得税に対して、復興特別所得税の2.1%が上乗せされています。

確定申告のタイミングと方法

確定申告は、売却した年の翌年の2月16日から3月15日までの期間に行う必要があります。

納税期限は3月15日となりますが、振替納税を利用する場合は4月中旬(具体的な日付は年により異なる)です。

もし、確定申告の必要があるのにもかかわらず、確定申告しなければ無申告加算税や延滞税などのペナルティが発生するので、余裕をもって手続きしましょう。

また、確定申告には多くの書類が必要となります。

確定申告に必要な書類
  • 確定申告書
  • 譲渡所得の内訳書
  • マイナンバーカード、または通知カード
  • 売買契約書の写し
  • 登記簿謄本
  • 不動産仲介会社との媒介契約書
  • 諸費用の領収書
  • 住民票の除票や居住を証明する書類(控除利用の場合)

【申告方法と納税】
申告方法には大きく分けて三つの選択肢があります。

電子申告(e-Tax) マイナンバーカードが必要となりますが、24時間申告が可能で添付書類の提出も簡素化されています
税務署への持参 直接相談が可能で書類の不備をその場で指摘してもらえますが待ち時間が発生する可能性があります
税理士への依頼 専門家によるチェックが受けられ、複雑な案件にも対応できますが費用が発生します

納税方法については、銀行や税務署での直接納付、振替納税(口座引き落とし)、クレジットカード納付、電子納税などの選択肢があります。

自身の状況に合わせて最も便利な方法を選択できます。

家を高く売るならどこがいい?まとめ

家を高く売るためには、適切な不動産会社の選択が重要です。

不動産会社がどこがいいかというと、大手不動産会社は広範なネットワークとブランド力を持ち、スピーディな売却が期待できる一方、地域密着型の不動産会社は地元の不動産事情に精通し、的確な価格設定やプロモーションが可能です。

選択の際は、物件の種類や特性、自身の状況を考慮し、3〜5社程度の査定を比較検討することが推奨されます。

売却のタイミングも重要な要素です。季節的には2月から3月が最も取引が活発になる傾向があり、年末から準備を始め、1月から販売を開始するのが理想的です。

また、築年数による価値の低下も考慮が必要で、特に木造住宅は築20年、鉄筋コンクリート造は築30年を超えると大きく評価が下がります。

売却前の準備としては、費用対効果の高いリフォームの選択が重要です。水回りや壁紙の張替え、外観の改善などは、比較的少ない投資で大きな印象改善が期待できます。

また、不用品の処分や清掃も内覧時の印象を左右する重要な要素となります。価格設定と価格交渉も家を高く売るための成功の鍵となります。

相場価格を基準としながら、物件固有の価値を反映させた価格設定が基本で、一般的には相場よりもやや高めの価格からスタートし、最終的に5〜10%程度の値引きを想定しましょう。

交渉時は買主の視点に立ち、物件の魅力や維持管理状態の良さを具体的にアピールすることが効果的です。売買契約時には、契約不適合責任や手付金の取り扱いなど、売買契約に伴う重要なポイントを理解する必要があります。

また、引渡しまでの準備として、住宅ローンの完済手続き、残置物の撤去、各種住所変更手続きなどを適切に行う必要があります。売却後は確定申告が必要となり、譲渡所得の計算や3000万円特別控除の特例適用など、税務上の手続きを正確に行いましょう。